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時代小説に夢中

読書

「戦の国」を読んで、家康嫌いが確定した

家康ファンの方がいらしたら、すみません。 初の作家さんだった冲方丁さんの「戦の国」、とても面白かった。 戦国、動乱の55年を駆け抜けた、織田信長、上杉謙信、明智光秀、大谷吉継、小早川秀秋、豊臣秀頼ら六傑の視点から描く、連作短編集。 どの武将も、…

池浪正太郎の「西郷隆盛」を読んで、明治維新の真相がわかった

鹿児島、錦江湾に浮かぶ桜島 池波正太郎は、エッセイ以外はほぼ読みつくしてしまったと思っていたら、読んでいない本があった。 しかも、気になっていた「西郷隆盛」だ。 幕末ものをいくつも読んできて、西郷隆盛は明治維新の立役者の一人のはずなのに、どう…

私にとって初の時代小説作家、辻堂 魁さんの「仕舞屋侍」を読んだ

主人公は、かつて御小人目付(おこびとめつけ)として剣と隠密探索の達人だった九十九九十郎(つくもくじゅうろう)。ある事情で職を辞して、「仕舞屋」と称して事件のもみ消し屋を営んでいる。歳は50代だろうか、江戸時代ではおじいさんと呼ばれる頃合い。 …

舶来の青い顔料で成功した歌川広重の物語「広重ぶるう」を読んだ

錦絵の「東海道五十三次」や「名所江戸百景」で有名な、歌川広重の生涯を描いた物語。 <錦絵と浮世絵の違いについて> 「浮世絵」とは、日本画の種類のひとつで、江戸時代の風俗(美人画や役者絵、風景画など)を描いた、庶民的な絵画のことです。なお、浮…

今村翔吾のエッセイ「湖上の空」を読んだ

新たに時代小説作家を探していた時に、直木賞を受賞した今村翔吾さんの「塞王の楯」が良いらしいということを知った。 読みたくなり久しぶりに購入しようと思ったら、文庫本がまだ出ていない。電車通勤で読むには単行本は重いけれど、どうしても読みたくなっ…

東大寺仁王様を作った運慶の本、「荒仏師 運慶」梓澤要著

東大寺の金剛力士像(1203(建仁3)年) 東大寺の金剛力士像(仁王様)を初めて見たとき、息をのむ衝撃で立ちすくんでしまった。 それから様々な仁王様にお目にかかってきたが、作った人によって本当にお顔や姿が違っていて、作った人にも興味を持つようにな…

【2023年私のベスト本】主人公編と感動編

去年の年間ベストはもう、悩むことなく断トツで「鬼平犯科帳」だった。 主人公としても、感動作品としてもだ。 revivel.hatenablog.jp 今年は外へ出る機会が増えたので、去年に比べると読書量はかなり減ったけれど、新たな分野を読んだりして、読書の幅は広…

「コンビニ人間」村田沙耶香著を読んだ

図書館でふと目に付いて、なんか聞いたことあるタイトルだと思って借りてみた。そうしたら、芥川賞受賞作だった。だから聞いたことがあったんだ。 主人公は大多数の人が共通認識している「普通」というものが理解できない、古倉恵子36歳。コンビニバイトに生…

ヘミングウェイ「日はまた昇る」守屋陽一訳を読んで

第一次世界大戦を経験した若者が、自堕落に過ごす日々・・。 終始、お酒を飲んで、酔って、喧嘩して、食べて、遊ぶ。 ヘミングウェイ自身と、一緒にスペインを訪れた7人の友人がモデルで、イギリス人の貴婦人ブレット・アシュリーを奪い合う。 何なの、この…

ヘミングウェイ「海流のなかの島々」訳:沼澤洽治を3週間かけて読了

今週のお題「最近読んでるもの」 洋書を読んだ記憶は、高校生の時にマーガレット・ミッチェルの「風と共に去りぬ」くらいで、最近では2~3年前にヴィクトール・E・フランクルの「夜と霧」を読んだ。 一つの作品を読み終わるのに3週間かかったのは初めての…

「41歳からの哲学」池田晶子:生きても死んでも大差ない

ちょっとしたきっかけで手にした哲学の本。 41歳から・・これは実年齢とはかけ離れています、念のため。しかし、残念なことに精神年齢はもちょっと低いと思う。 本書は、「週刊新潮」で「死に方上手」のタイトルで連載されたものを集めた書籍だそう。 本書の…

重松清「その日のまえに」を読んで問う、また誰かを愛してもいいですか

「その日のまえに」の”その日”とは、そう、最期の日のことだ。 裏表紙の紹介文は 僕たちは「その日」に向かって生きてきた。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。消えゆく命を前にして、いったい何ができるのだろうか・…

「限りある時間の使い方」を読んで、意味のある人生を自分に問う

全米ベストセラーのオリバー・バークマンさんの本書、誰かが紹介していて気になって購入したまま積読本になっていた。 突然、むくっと読む気になって週末に一気読みした。 人の平均寿命は短い。ものすごく、バカみたいに短い。 中略 80歳くらいまで生きると…

侍好きが「大空のサムライ」を読んだ

10年以上前に「永遠のゼロ」を読んでから零戦に興味を持って、当時も坂井三郎さんの本を読んだ記憶がある。 今回はどこかのブロガーさんが紹介していて、終戦記念日の8月という事もあって手に取ったけれど、読み終わらず9月になってしまった。 「大空のサム…

「修羅走る 関ケ原」を読んで、関ケ原の合戦とは何だったのかを思う

関ケ原の合戦について、遠い昔にそんなことがあったくらいしか知識がなかった。 時代小説をむさぼり読むようになって、約2年半。 特に池波正太郎の作品は、戦国時代、江戸時代、幕末、それぞれが面白くて、自然に日本の歴史に興味を持つようになった。 目に…

映画「のぼうの城」は面白かったけど、小説はもっと面白かった

豊臣秀吉が天下統一をとるときに、最後まで陥落することなく、唯一落とせなかった城として名を残すことになった忍城(おしじょう)の戦い。 のぼうの城の忍城は、現在の埼玉県行田市に位置し、史実に基づいたお話です。 読後はもう 爽快! 清々しいことこの…

直木賞受賞作「利休にたずねよ」は、千利休切腹の謎を解き明かしていく物語

新たに、時代小説作家さんを探してたどり着いたのが、山本兼一さん。 最初に選んだ作品が、第140回直木賞受賞作、「利休にたずねよ」。 PHP文芸文庫紹介文 女のものと思われる緑釉の香合を肌身離さず持つ男・千利休は、おのれの美学だけで時の権力者・秀吉に…

和田竜 著「小太郎の左腕」は、鉄砲集団雑賀衆の11歳の最終兵器・・

鉄砲集団「雑賀衆」とは 「村上海賊の娘」「忍びの国」などは、かなり史実に基づいた作品であったけれど、今回は戦国時代が舞台のフィクションである。 フィクションではあるものの、「村上海賊の娘」にも登場していた、戦国最強の鉄砲傭兵集団「雑賀衆」の…

池波正太郎著「獅子」は、徳川に付いた真田昌幸の長男、信之のものがたり

かの関ケ原の戦いで、西軍に付いた父の真田昌幸、弟の幸村と別れ、家康の養女を妻にした長男の信之は東軍に属し、家康に評価されていたということは知っていた。 次男の真田幸村は、不利と分かっていても最期まで豊臣に付き、大坂冬の陣・夏の陣で後世にまで…

藤沢周平の短編集「時雨みち」

久しぶりに藤沢周平を読みたくなって、選んだのが短編集の「時雨みち」。 通勤の電車内で読むには、短編集はちょうどよい。 1979年~1981年の作品で、武家もの、市井もの11篇を収めている。 相変わらず、渋くて、男女の機微、人生のやるせなさを端正に綴って…

朝倉かすみ著「平場の月」を読んで、心がヒリヒリしてしょうがない

とにかく、まいりました。 脳なのか、心なのか、後遺症だ。 ヒリヒリ、痛い。 朝倉かすみ、何もの? この「平場の月」は、山本周五郎賞を受賞していて、直木賞候補にもなっていた。 久しぶりに時代小説以外を読もうとしたのは、先輩ブロガーのくーさまが紹介…

熊谷達也の「我は景祐」は、明治維新の影で散ったもう一人のヒーロー

2022年11月ごろから会津藩の最期に興味を持ち始め、そこから幕末、明治維新関係を読み始めた。 revivel.hatenablog.jp 今年、2023年1月に、池波正太郎著「幕末遊撃隊」を読んで、新たな実在したヒーローに感動して、幕末ものはひと区切りしたつもりでいた。 …

隆慶一郎「吉原御免状」は、家康が影武者だったというお話し

隆慶一郎を読むのは2冊目になる。 面白い。 主人公の松永誠一郎は、生後十三日目で宮本武蔵に拾われて、25歳まで肥後の山中で育てられる。武蔵の死後、武蔵の書状をもって訪れた、江戸・吉原で裏柳生との争いに巻き込まれる。二天一流の達人で、実は後水尾院…

沢木耕太郎「春に散る」を読んで、ボクシングが苦手ではなくなっていく

ネット上で、佐藤浩市×横浜流星W主演で映画化「春に散る」と言う記事をみつけた。 「春に散る」の公式サイトをのぞいてみると、好きな山口智子も出演する。 佐藤浩市のコメント、「生き様があっても生き方が見えない漢たちが、自身のこれからと最後を賭けて…

長谷川平蔵から「死ぬことと見つけたり」の斎藤杢之助に浮気する

時代小説ばかり読むようになって2年余り。 時代小説は、市井ものから捕物帖、剣豪小説などジャンルも多く、いくら読んでも飽きることがない。 いろいろ調べているうちに、「そうか、私はチャンバラ好きなのだ・・」ということに行きついた。 そして、隆慶一…

「村上海賊の娘」は面白すぎて、一気読み

2022年のマイベスト本に挙げた、「鬼平犯科帳」以来のワクワク感でたまりませんでした。 映画化された「のぼうの城」を書かれた、和田竜による長編歴史小説。 第35回吉川英治文学新人賞 2014年本屋大賞 第8回親鸞賞 文庫本、全4巻。 1巻目は人物把握で時間が…

池波正太郎「幕末遊撃隊」は明治維新へのタイムマシン

去年2022年秋から幕末に関する時代小説を読んできた。 会津藩に興味を持ったことから始まった幕末ものも、ひとまずこれで一区切りになる。 そして、幕末の名剣士、伊庭八郎を私は知らなかった。 代々にわたる心形刀流の道場で、江戸でも名流とうたわれた剣家…

【2022年私のベスト本】池波正太郎「鬼平犯科帳」

「鬼平犯科帳」はテレビ時代劇でお馴染みの方も多いかと思います。 私は時代劇を観ていないけれど、名前くらいは知っていた。 2021年11月に池波正太郎を読むようになってから、「鬼平犯科帳」はタイトルが何となく手に取ろうとする気にならず、やっと手にし…

斎藤一を知りたくて、浅田次郎「一刀斎 夢録」を読んでみた

一刀斎・・・後ろから読むと斎藤一(知らなかった!) 斎藤一と言えば、人気アニメの「るろうに剣心」でもお馴染み、映画では江口洋介が演じていて、知っている人は多いと思う。 最強と言われ、恐れられた、新撰組三番隊組長。 どうして斎藤一を知りたいと思…

明治維新の影に、気高く生きた会津藩の人々の物語「修理さま 雪は」を読んで

会津落城の早朝、運命が一変してしまった会津藩の人々を主人公にした連作7編です。会津藩と言うと、15歳前後の武家男子を集めた白虎隊の悲劇が思い浮かんでしまいますが、史実に基づいた7人のお話は涙なしでは読めないものでした。 「修理さま 雪は」藩主…