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時代小説に夢中

「限りある時間の使い方」を読んで、意味のある人生を自分に問う

全米ベストセラーのオリバー・バークマンさんの本書、誰かが紹介していて気になって購入したまま積読本になっていた。

突然、むくっと読む気になって週末に一気読みした。

人の平均寿命は短い。ものすごく、バカみたいに短い。

中略

80歳くらいまで生きるとして、あなたの人生は、たった4000週間だ。

だから、人生は時間の使い方そのもの・・ということで、タイムマネジメントの指南書は多く存在している。

 

本書は違った。

生意気なタイトルにしてしまったけれど、大げさではなく、自分にとっての意味のある人生を考えさせられてしまったのだ。

 

響いたフレーズをいくつか紹介。

・今を犠牲にしつづけると、僕たちは大事なものを失ってしまう。

・本当にやりたいことができるように、「やらないこと」を正しく選ぶ。

・計画をたてて、何もかも片づいたあとの遠い未来に得られるかもしれない充実感ではなく、今ここにある人生を何とかしなくてはならないという視点が必要。

・非現実なハードルから解放されたとき(自分が無価値だと気づいたとき)、限りある時間を有意義に使う方法は、今までよりもずっと多様な可能性に開かれる。

 

私自身、仕事もプライベートもしなければならないことに追われて、効率ばかりを考えて、マルチタスクに精を出してきた。その先のために、その時々の「今」はただ我慢して、葬ってきてしまった。

想えば、したかったアレやコレは今も自分の中で燻っている。

 

本書は、コロナ禍に書かれた。

ラストには、

世界はすでに壊れている。そしてあなたの人生も同じだ。あなたの4000週間は、不完全なまま、いつだってすでに尽きかけている。

この不愉快な現実は、しかし、自由への一歩だ。

幻想にしがみつくことをやめて、現実をしっかりと見つめたとき、そこに現れるのは無力さではなく、あふれんばかりの活力だ。

今までずっと無意識に身構えていた恐ろしい事態は、すでに起こってしまった。だからもう、肩の力を抜いていい。

 

とは言っても、人は明日のこと、来週のこと、1年後のこと、10年後のことを心配してしまうので、悲しいかな、簡単に自由に動けない。

それでも、本書を読んで、気持ちの中で変化があった。

何重にもあった殻が、2枚位は剝がれた気がする。

 

何か大きなことを成すことだけが、意味のある人生でもない。

海外青年協力隊に参加することはできなくても、ささやかだけれど国境なき医師団への毎月の寄付で自分を納得させる。

そして、併読していた山本兼一さんの「まりしてん誾千代姫」を読み終わって、”うつくしく生きたい”が、今の私のしたいことだと落ち着いた。