去年の年間ベストはもう、悩むことなく断トツで「鬼平犯科帳」だった。
主人公としても、感動作品としてもだ。
今年は外へ出る機会が増えたので、去年に比べると読書量はかなり減ったけれど、新たな分野を読んだりして、読書の幅は広がった。
1冊に絞ることができなくて、今年は「主人公編」と「感動編」でそれぞれ3位までを紹介したい。
主人公編
1位 「死ぬことと見つけたり」隆慶一郎
主人公は、斎藤杢之助(さいとう もくのすけ)。
ジェームズ・ボンド(007の主人公)、レオン・モンタナ(レオンの主人公)も敵わない漢っぷりだ。惚れ惚れする。
なぜ映画化されない。と思って探していたら、海外の映画で江戸時代の書物「葉隠」を愛読している殺し屋の物語「ゴースト・ドッグ」という映画があった。日本好きの監督ジャームッシュによる作品。
2位 「村上海賊の娘」和田竜
主人公は、村上景(むらかみ きょう)。
戦国時代に実在した、瀬戸内海で君臨した村上水軍の頭領・村上武吉の娘という設定である。半端ない荒くれ漢たちの中で暴れまくる、女海賊の景から目が離せない。
信長と大坂本願寺の戦いが舞台で、史実に基づいているところも面白く、他のキャラクターたちもそれはそれは魅力的である。
3位 「幕末遊撃隊」池波正太郎
主人公は、伊庭八郎(いば はちろう)
心形刀流伊庭道場の後継ぎで、一本気で粋で美貌の剣士。幕臣として、負け戦に挑んで27歳で散った伊庭八郎は、男女問わず惚れてしまうヒーローだ。負けることがわかっているのに戦う、幕臣側の心情も筋が通っていて切なくてカッコ良すぎる。
感動編
ただ単純に、私個人の涙の量が多かった順位です。
1位 「平場の月」朝倉かすみ
好きな人を幸せにできない、もどかしさ。
甘えたいのに甘えられない、もどかしさ。
2位 「その日の前に」重松清
ただ悲嘆だけではなく、再生を与えてくれる作品。
関ケ原の合戦のその日1日の、戦国武将たちの生き様、死に様の美しい死生観に涙します。