久しぶりに藤沢周平を読みたくなって、選んだのが短編集の「時雨みち」。
通勤の電車内で読むには、短編集はちょうどよい。
1979年~1981年の作品で、武家もの、市井もの11篇を収めている。
相変わらず、渋くて、男女の機微、人生のやるせなさを端正に綴っている。
解説で、岡庭昇さんが、「人の世に倫理は存在せず、人の関係は利害と立場、打算とエゴに充ち充ちている。だからこそこの世のどこかに、正義や規範、感傷や愛が存在しなければならないのである。」と書いている。
藤沢周平の物語はほんとそう、まさしく言い当ててくれている。
心に染みる「時雨みち」11篇の、「山桜」は映画化され、2008年に公開されている。