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時代小説に夢中

池波正太郎著「獅子」は、徳川に付いた真田昌幸の長男、信之のものがたり

かの関ケ原の戦いで、西軍に付いた父の真田昌幸、弟の幸村と別れ、家康の養女を妻にした長男の信之は東軍に属し、家康に評価されていたということは知っていた。

 

次男の真田幸村は、不利と分かっていても最期まで豊臣に付き、大坂冬の陣・夏の陣で後世にまで名を残した。彼の勇姿は、時の戦国武将達をも深く感動させたという。

徳川家康から真田信之を通じて、寝返るよう誘いを受けていたが、義を貫いて敗者の豊臣方に付き、人生の最期を華々しく飾って散った真田幸村

人気があるのは仕方がない。私も真田昌幸・幸村親子が大好きだ。

 

その点、徳川に付いた真田信之には、あまり良い印象を持っていなかったけれど、「獅子」を読んで好きになってしまった。

 

時代は父・弟と袂を分かち60年後。信濃の獅子と謳われた真田信之は93歳になっている。

戦国の世を生き抜き、やっと隠居してのんびりするはずが、真田家存続の危機が訪れる。老中・酒井忠清の幕府と、水面下で隠密が暗躍する闘争が展開する。

父から「お前の血は冷えている」と言われたことを引きずっていた信之だったが、真田家とりつぶしの危機に立ち向かい、不利な状況の中のどんでん返しは気持ち良い。

信之は真田家の血を絶やさないために、信之のやり方で真田家を守ったのだ。

 

ああ、池波正太郎の作品はやっぱり素晴らしい。

ほとんど読んでしまい、残り少なくなってきた作品の「真田太平記」、かなりの大作なので、いつかと思いながら今からワクワクしている。

 

現代のリーダーたちよ、池波正太郎を読みなはれ。

真田信之の言葉を引用。

大名のつとめと申すは、領民と家来の幸せを願うこと、これ一つよりほかにはないのじゃ。そのために、おのれが進んで背負う苦労に堪え得られぬものは、大名ではないのじゃ。人の上に立つことをあきらめねばならぬ。人はわしを名君と呼ぶ・・・が、名君で当たり前なのじゃ。いささかも偉くない。大名たるものは、いずれも名君でなくてはならず、そのことは、別に賞められるようなことでも何でもないのじゃ。百姓が鍬を握り、商人が算盤をはじくことと同じよ。