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時代小説に夢中

隆慶一郎「吉原御免状」は、家康が影武者だったというお話し

隆慶一郎を読むのは2冊目になる。

面白い。

主人公の松永誠一郎は、生後十三日目で宮本武蔵に拾われて、25歳まで肥後の山中で育てられる。武蔵の死後、武蔵の書状をもって訪れた、江戸・吉原で裏柳生との争いに巻き込まれる。二天一流の達人で、実は後水尾院(第108代天皇)の遺児。

隆慶一郎が書く主人公は、「死ぬことと見つけたり」の斎藤杢之助といい、主人公が魅力的過ぎる。

 

二代将軍徳川秀忠は、自分の娘(和子)を後水尾天皇に入内させた。鎌倉幕府以来、天下は武家のものとなっても、武家天皇になることはなかった。武家の娘が皇后になり、その皇子が天皇となって、己が天皇外戚の地位を得ることが悲願であった。

和子以外の女官から生まれた皇子は、ことごとく殺されたり、流産させられる。冷血な秀忠から、この恐るべき皇子暗殺を一手にひきうけていたのが柳生一族である。

 

そして作中、関ケ原の戦いで、家康は戦死する。長年、影武者を務めてきた身代わりが、すり替わったのだ。

そこからほとんどの政治は秀忠がとり、豊臣家滅亡を目指す作戦も陰険であった。豊臣家に近い大名を次々に毒殺することから始めた。加藤清正、真田正幸、浅野長政堀尾吉晴の四人は、揃って慶長16年4月から6月にかけて死んでいる。

 

池波正太郎の忍者ものを読んでいて、私は、家康は胡散臭い、家康がきっと豊臣家に近い大名を毒殺したに違いない・・と家康嫌いだった。

この隆慶一郎の「吉原御免状」では、家康は影武者で、冷血な秀忠を家康(影武者)は恐れていて秀忠に毒殺されたとある。

 

大河ドラマ「家康どうする」は、あまり人気がないみたいだけれど、隆慶一郎の「吉原御免状」が大河ドラマになったら、とても面白いと思う。

伝説の花魁達、高尾太夫や勝山太夫なども登場するほか、有名な人物の登場が多く、一人一人のキャラ設定も面白い。

と言っても、今のテレビは規制が多いので、吉原や殺陣の描写などは到底、無理ですね。

 

吉原成立の秘密、徳川家康から下された「吉原御免状」とは何か、そして主人公の松永誠一郎がどこまでも清廉なのに、剣の達人。

おススメです。

 

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