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時代小説に夢中

侍好きが「大空のサムライ」を読んだ

10年以上前に「永遠のゼロ」を読んでから零戦に興味を持って、当時も坂井三郎さんの本を読んだ記憶がある。

今回はどこかのブロガーさんが紹介していて、終戦記念日の8月という事もあって手に取ったけれど、読み終わらず9月になってしまった。

大空のサムライ」は、終戦まで生き延びたエース・パイロットの坂井三郎さんの回想記である。

 

印象的な部分の一つを。

ある攻撃の帰途、味方の零戦がエンジンをやられて速度が落ちてフラフラしている。そばに寄り添って飛ぶしかない。他にも友軍機が集まってきて、風防を開けて励ます。そのうち山の斜面が迫り、「自分は敵地に引き返して自爆する。」と反転して引き返してしまう。坂井は苦悩する。からだには負傷一つないのだ、ただエンジンが被弾したのだ、そんなバカなことってあるか。

 

日本の飛行機乗りは誰も落下傘を持っていないのだ。零戦は、少しでも軽くして、空戦性能を良くすることしか考えられていない。そして飛行機乗り自身も、空戦において生命を惜しんだと思われるような行動は、誰もとりたくなかったという。

敵国は「零戦に対し不利な空戦は避けよ、ただ逃げるだけだ」と指示をしていた。零戦が恐れられていたのは、その性能に加え、死ぬ気で来るのだから、それは恐ろしいだろう。

これからもわかるように、敵国は落下傘も持っていたし、「逃げろ」と飛行機乗りの命を大切にしているのがわかる。

 

同じサムライでも、江戸が終わっておよそ70年で、武器が刀から戦闘機に進化している。それなのに、日本人の心理は進化していないのだ。戦において、命を惜しまない。

 

坂井三郎さんは佐賀県出身で、”武士道は死ぬことと見つけたり”の葉隠れ精神の発祥地であると、冒頭で述べている。

 

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ただ、ただ、国のためにと空に散った多くの若い命を想うと、いたたまれない。けれど、坂井三郎さんの数々の空中戦の記録はついつい、「がんばれ!」と引き込まれてしまう。

 

また、知覧特攻平和会館へ行ってみたくなった。

 

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