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時代小説に夢中

和田竜 著「小太郎の左腕」は、鉄砲集団雑賀衆の11歳の最終兵器・・

鉄砲集団「雑賀衆」とは

 

村上海賊の娘」「忍びの国」などは、かなり史実に基づいた作品であったけれど、今回は戦国時代が舞台のフィクションである。

フィクションではあるものの、「村上海賊の娘」にも登場していた、戦国最強の鉄砲傭兵集団「雑賀衆」の神の子が、タイトルの小太郎だ。

 

主人公は戦国時代の典型のような猛将、半右衛門。敵である隣国の喜兵衛も素晴らしい武将で、敵でありながら誰よりも互いに信頼している。武辺を誇る武将達の、真っ直ぐに乱世を生き抜く漢っぷりはカッコよくて、一気に読める。

そして合戦の凄まじさは、まるで自分の眼で見ているかのような臨場感で、和田竜さんの見事な筆致に大興奮する。

 

純粋な少年、小太郎は神業的な鉄砲の腕を持っていたために、戦いに巻き込まれることになる。主家を守るために、小太郎を巻き込んだ武将、半右衛門は自分の信条を曲げたために自分を見失う。

この時代の男たちは、卑怯な振る舞いや、見苦しい行い、そして偽りを述べることを自らに固く禁じ、自らの心に一片の曇りもないことを自覚することによって、輝きを放つ男たちである。

自分を取り戻すために半右衛門はどうするか。

ラストは落涙なしではいられない。

 

戦国時代のエンターテインメント作品、面白いです。

 

 

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