宇江佐真理の時代小説にハマって、次々に読んでいて不安になった。
それは、また読みつくしてしまったらどうしよう。
あとに読めるものを確保しておきたいと、そわそわ。
そして、他の作家で時代小説を探そうとネットで調べたら、”不朽の名作””時代小説の金字塔”etc・・なんだか凄いらしい。
タイトルは「さぶ」ですが、さぶは脇役で主人公は栄二。
でも、読み終わってみると、タイトルは「さぶ」でいいんだと思った。
二人は老舗の表具屋に奉公している仲良しで、栄二は男前で仕事もできるけれど、さぶは不器用でのろまで叱られてばかりいる。物語の冒頭は、さぶが泣きながら奉公先を飛び出していくところを、栄二が追って「帰ろう」と連れ帰るシーン。この時の二人は15歳。
それから5年後に移り、仕事の腕は更に差がついている二人だけれど、それでも強いきずなで結ばれている。
ところが、栄二に残酷な運命が待ち受けており、無実の罪で石川島の人足寄せ場へ送られる。
栄二の心は荒んで、世間を恨み、心を閉ざし、誰も寄せ付けず復讐を誓う。
さぶは栄二を探し、何度拒絶されても栄二を信じ寄り添い続けようとする。
そして、島の長い生活の中で心を許せる仲間ができ、少しずつ成長していく栄二。
ここまでの栄二の精神的試練、葛藤はすさまじい。栄二も心が綺麗なために傷つき苦しみ、栄二のもがきに心が痛くなる。
でも、さぶは、最初から何があろうと人を疑わず、損得抜きに正直で心が美しい。そして、島の住民との関係も目が離せなくて、あっという間に読み終わってしまいました。重要なのは、女性も絡んできます。
「さぶ」は、しばらくボーっとするくらい、忘れられない作品となりました。
ラストはハッピーエンドなのですが・・
衝撃的ラストに「えーーーーーー!!!!!!!」と、しばらく茫然自失となった自分でした。
そしてお決まりの、今度は山本周五郎を読み続けるという。
けれど途中で、山本周五郎は青空文庫で読めることに気付いて、しかもかなりの作品を残しているので安心して他の作家さんに移ることができました。
山本 周五郎(1903年(明治36年)6月22日 - 1967年(昭和42年)2月14日)は、日本の小説家。本名:清水 三十六(しみず さとむ)。質店の徒弟、雑誌記者などを経て文壇に登場。庶民の立場から武士の苦衷や市井人の哀感を描いた時代小説、歴史小説など大衆小説で知られ[1]、特に晩年多くの傑作を書いて高く評価された。