賞を取っている作品はどういうわけか手が伸びない傾向なのです。いつか読めるだろうと思いつつ受賞から6年目にして、ブロガーさんの影響で読む機会を得られました。
古本屋さんで買った文庫本はとても綺麗で、付いていた栞もたまたまなのか「火花」の最後に出てくる熱海の綺麗な花火の写真で、前に読んだ人を想像してしまいます。
でも、「火花」より前に出ていたエッセイ「第2図書係補佐」は読んでいて、ご自身のエピソードを交えた本の紹介は面白くとても気に入っていました。この時から純文学が好きなことは知っていたけど、まさか執筆してしまうなんて。
しかも芥川賞を受賞してしまうなんて。
単行本の累計発行部数は村上龍の『限りなく透明に近いブルー』を抜いて、芥川賞受賞作品として歴代第1位だそうですね。どこまで行ってしまうのですか。
喜ばしい事なのに、素直に喜べなくてごめんなさい。それはきっと、私はピース又吉が好きだったのです。
最近の芸人さんは、やたら声が大きくて、しんどい。ピース又吉は面白かった。思わずくすっと笑ってしまう話術は、やはり3000冊以上の読書量の賜物ですか。
ピースの前に”線香花火”というコンビでご活躍をしていて、人気があったことを知りました。で、2003年8月に”線香花火”として解散。「火花」はフィクションだけれど、ご自身の経験がベースになっているんだと気づきました。受賞後のTV番組で、「共感できなくても芸人の世界を理解してほしい。」と語っていますね。
「火花」は漫才愛で溢れています。私は漫才が好きで、大阪に住んでいる頃は良く”なんばグランド花月”へ通っていました。TVでは拝見することのない、「まるむし商店」なんて最高に面白い。
「火花」はもの哀しかった。これが純文学なのでしょうね。
だから手が伸びないのかもしれません。
ハッピーエンドが好きだから。
勝手だけれど、せめて物語くらいはハッピーエンドであってほしいのです。
いつか、ピース又吉の漫才に会えることはできますか。
大きな声を出さなくても面白い、漫才を聞かせてください。
待っています。