revival

時代小説に夢中

「村上海賊の娘」は面白すぎて、一気読み

2022年のマイベスト本に挙げた、「鬼平犯科帳」以来のワクワク感でたまりませんでした。

映画化された「のぼうの城」を書かれた、和田竜による長編歴史小説

文庫本、全4巻。

1巻目は人物把握で時間がかかったけれど、2巻目からは、それはもう、夢中になります。

 

戦国時代、織田信長と大坂本願寺の戦い(木津川口の戦い)が舞台。

主人公は瀬戸内海を席巻した、村上海賊の首領の娘である景(きょう)。

この姫でもある景が破天荒で魅力的で、先が知りたくて、ページをめくる指が止まらなくなる。

そして、織田信長についた大阪は泉州の眞鍋海賊と大阪本願寺(毛利軍)についた村上海賊の、合戦の臨場感は手に汗握るほど。

海賊や泉州侍たちの面々も魅力的で、引き込まれ、一気に読んでしまった。

史実にも忠実で、文中に歴史的文献の引用も多く、自然に歴史のお勉強にもなりました。

先が気になって一気に読んでしまったものの、もう一度ちゃんと読みたくなる作品。

 

解説では、「興奮冷めやらぬ思いをしている読者には、文庫本をかばんに詰めて、村上海賊を体験する旅に出ることをおすすめする。」でしめている。

できることなら今すぐに瀬戸内海へ飛んでいきたい。

 

池波正太郎「幕末遊撃隊」は明治維新へのタイムマシン

去年2022年秋から幕末に関する時代小説を読んできた。

会津藩に興味を持ったことから始まった幕末ものも、ひとまずこれで一区切りになる。

 

そして、幕末の名剣士、伊庭八郎を私は知らなかった。

代々にわたる心形刀流の道場で、江戸でも名流とうたわれた剣家に生まれている。

天才と言うほどの名剣士で、江戸ざむらいの人間的魅力を持ち、二十歳そこそこで酒も女も料理もたしなむゆとりを持った「伊庭八郎」に惹きつけられていく。

伊庭八郎は、幕臣としての道を貫き通し、明治2年箱館の地でわずか27歳の生涯を終えた。

 

負け戦とわかっているのに何故行くのかと聞かれ、伊庭八郎は2人にこう答えている。

「一滴の血も流さず、三百年におよんだ天下の権を、将軍みずからが、さっさと手放したのだ。こいつは、いまだかつて、我が国の歴史になかったものですぜ。こんな新しい事はないと、私は思いますね。ところがだ、薩長の奴らは、あくまでも、こんな新しいことをやってのけた徳川の息の根をとめなくては、安心して眠れねえらしい。むりやりに、こっちを戦争に引きずり込み、牙をならして飛びかかってきた。こいつは織田・豊臣のころの天下取りと同じようなもんです。何が新しいことがあるもんか。」

 

「私はねえ、薩長の奴らばかりが日本人だということになったら、困ると思いますよ。徳川三百年の治政の是非はともあれ、ともかく慶喜公は、戦争を防ごうとなされ、みずから、すべてを投げ出されたので。このことを後の世にまで、わかってもらいたいと、私は思いますねぇ。

このまま、じいっと頭を下げて、官軍のいうなりになってしまえば、奴らのしたことの、全部の全部が、正しいことになってしまいますからねえ」

 

解説で、佐藤隆介が書いている一部を引用します。

現代社会というものが、何もないところからいきなり出て来たものではなく、歴史の流れの必然的な結果として存在する以上、われわれが明治維新の本質とその意義を考えなおすことの重要性は、いくら強調してもし過ぎることはないだろう。

それだからこそ、私は、この一編を現代人必読の価値ある小説と断じてはばからない。この”幕末遊撃隊”という歴史小説は、現代つまり自分自身の時代について考えるために、必ず読まなければならぬ作品のひとつである。

タイトルにも書かせてもらったが、池波正太郎歴史小説はタイムマシンだと大絶賛である。

 

「幕末遊撃隊」は、伊庭八郎と言う魅力的な人物の発見と、明治維新について考えさせられた忘れられない一冊になった。

 

【追記】

くーさまが、この記事を読んで「幕末遊撃隊」に興味を持ってくださって、ご自身のブログに記事を書いてくれました。

私では文字に出来ないもどかしさを、見事に書いてくださっています。

切なさが蘇ってきて、また読みたくなりました。

www.whitepapers.blog

 

ja.wikipedia.org

 

新年あけましておめでとうございます

2023年もよろしくお願いします。by タロー

新年早々、ネタに困ったので、タローに登場願いました。

昨年は1年半ぶりにブログを再開することができて、自分でも驚いています。

優しいブロガーさんたちとの再会、新しい出会いをありがとうございます。

みなさまにとって幸多い1年になりますように。

 

今年はですね、小豆を食べると運気が上がるらしいですよ。

と言うことで、私は早速、お赤飯と水羊羹を作りました。

水羊羹は初チャレンジ。

粒あんが好きなので、粒あんの水羊羹です。

手作り水羊羹

 

【2022年私のベスト本】池波正太郎「鬼平犯科帳」

鬼平犯科帳」はテレビ時代劇でお馴染みの方も多いかと思います。

私は時代劇を観ていないけれど、名前くらいは知っていた。

2021年11月に池波正太郎を読むようになってから、「鬼平犯科帳」はタイトルが何となく手に取ろうとする気にならず、やっと手にしたのは2022年4月。

最後の24巻を読み終わったのが8月。

鬼平犯科帳」を読み始めてから、毎日が楽しくて楽しくて、鬼の平蔵こと長谷川平蔵に会いたくて会いたくて、まるで恋焦がれてるかのようであった。

 

最後の24巻を手に取り、『とうとう終わっちゃうのか、寂しいな、どんな終わり方だろう・・』と、何も知らず。

なんと、未完であったことを知って、唖然として頭が真っ白になったことを覚えている。

 

江戸幕府火付盗賊改方の長官・長谷川平蔵は、盗賊たちに“鬼の平蔵”と恐れられている。しかし、妾腹の子として苦労をした鬼平は放蕩無頼の限りを尽くし、義理も人情も心得ている。

お縄になった盗賊の中には、鬼平に惚れ込んで鬼平の「密偵」となり、命がけの働きをするようになる。

 

来年は古本で買い求めて、また1巻からゆっくり読みなおしたい。

 

ホント、面白いので読んでいただきたい。

2022年、私の最高傑作でした。

 

くーさんのブログで「鬼平犯科帳」の面白さを上手に伝えてくださっています。

 

www.whitepapers.blog

 

搬送先が決まるまで2時間、救急隊員の優しさに頭が下がる

私が担当している最高齢者は99歳で一人暮らしの女性。

主な症状は腰痛で、週1回の整形外科への通院と、近くのスーパーに週2回ほどの買い物を自分でしているのだ。

とても気丈で、しっかりされていて、「爪の垢をください」とずうずうしくお願いしたこともあった。

 

その女性のかかりつけの薬局から、「何度も電話をしているが繋がらないので心配だ」と連絡が入った。

親族は94歳の妹しかいないので、その妹さんへ連絡をして行ってもらった。

着いた頃を見計らって電話をすると、動けないでいるという。

 

自転車で走り、駆け付けると、ベットに寝ているが意識はしっかりしている。

原因は良く分からないが動けなくて、昨日からほとんど飲まず食わずでいる。トイレに行かないで済むように、喉が渇いているのに水で口をゆすぐだけにしていた。

往診も考えたが、妹さんも94歳で介護ができる状況ではないので、救急車の要請しかないことを説明をする。

音がするから嫌だとか、なにせ99歳と94歳なので決まらない。しまいに妹は「しっかりしなさいよ」と言いだして(汗)

 

何とか説得して、救急車を要請。

男性2人と女性1人の救急隊員さんだった。

「遠い病院はトイレが間に合わないからダメ」というので、搬送先の病院が決まるまでトイレのある自宅内で病院探しが始まった。

 

状況を説明しては病院に断られるという状況が延々と続く。

傍で聞いてる私は、『そこまで細かく聞いといて断るって!』と、救急隊員さんが気の毒になる。

待ってる間も、トイレへの介助を救急隊員さんが手伝ってくれたり、「時間がかかってしまってすみません。」と、救急隊員さんに非があるわけではないのに何度も謝ってくれたり。

 

2時間後、やっと搬送先がみつかった。

何度か、救急搬送のお手伝いはしてきたが、こんなに優しい隊員さん達は初めてだ。

3人の連携も良くとれていて、素敵なお仕事ぶりに疲れもふっとびました。

アバター:ウェイ・オブ・ウォーターを3Dで鑑賞

アバター

前作「アバター」公開から約13年振りに、続編の「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」が公開されました。

 

世界興行収入歴代1位だそう。

 

公開2日目の12/17(土)に観てきましたが、満席でした。

 

前作を観ていなくても、内容を忘れてしまっていても大丈夫です。

とにかく映像が素晴らしすぎて驚きます。

3Dで観たので、水しぶきとか飛んできます。

 

前作は森の中の映像で森の神秘が美しかったけれど、今回は海の神秘が美しくて海の中に入りたくなる。

 

3時間超です。

 

トイレは必ず、鑑賞前に行っといれ。

 

 

斎藤一を知りたくて、浅田次郎「一刀斎 夢録」を読んでみた

一刀斎・・・後ろから読むと斎藤一(知らなかった!)

斎藤一と言えば、人気アニメの「るろうに剣心」でもお馴染み、映画では江口洋介が演じていて、知っている人は多いと思う。

最強と言われ、恐れられた、新撰組三番隊組長。

 

どうして斎藤一を知りたいと思ったのか。

会津藩に関する本を読んでいたら、新選組斎藤一だけが最後まで会津藩と運命を共にして亡くなったとあったから。

亡くなったのは誤りで、維新後は警察官となっている。

 

「一刀斎 夢録」は、大正元年、老人になった斎藤一が、近衛師団所属の剣の達人である若き中尉に、自分の生涯を夜ごと語っていく回顧録となっている。

内容は壮絶です。

 

幕府が薩長にまけた理由を、「御大将に信念がなくば、勝ち戦でも負けるのだ。」と語っている。

そして、会津に残った理由も語られていた。

「危殆に瀕した徳川のために、御みずから進んで京都守護職に就かれた。薪を背負うて火中に飛び込まれたようなものじゃ。そして、親藩譜代ことごとく薩長になびく中にあって、朝敵とみなされた。わしは死に場所を得たと思うた。」

「落城せんと見て、会津を捨つるは、まこと義にあらず。」

 

人間など、みな同じ糞袋でしかない。という生き方をしてきた中で、「肥後守様(松平容保)が糞袋ではないただ一人の人間にあらせられる。」と言っている。

 

史実をもとにしたフィクションであるが、坂本龍馬を斬ったのは自分だと語っているのには驚いた。

 

ちなみに、「一刀斎 夢録」は、浅田次郎新選組三部作の完結編だそうです。

斎藤一とは、斎藤一がみた維新とは、新選組とは、

 

浅田次郎が作り上げた「斎藤一」、会津に残った理由については期待を裏切らなくて満足できました。

 

返却期限を過ぎてしまい、そろそろ返さなければいけないので、さらっと感想でした。